• メディア

タイムCMとスポットCMの違いとは!?特長・効果的な出稿戦略・効果分析を解説

  • #テレビCM
  • #ブランディング
テレビCMは、企業がブランドイメージを高め製品やサービスを広く認知させる上で、強力なマーケティングツールの一つです。テレビCMには大きく分けて「タイムCM」と「スポットCM」の2種類があり、特長や期待できる効果が異なります。この記事では、タイムCMとスポットCMそれぞれのメリットやテレビCMの効果を引き出すポイント、効果分析の方法について解説します。

1.タイムCMとスポットCMの違い

1)そもそも、テレビCMを実施する目的とは?

デジタルマーケティングが多様化する現代において、テレビCMは企業にとって依然として極めて有効なプロモーション手段です。情報が膨大に行き交う中で、生活者の記憶に残り、行動を促すための施策は多岐にわたりますが、テレビCMはその中でも圧倒的なリーチ力と信頼性を誇ります。

本題であるタイムCMとスポットCMの違いを解説する前に、まずは「テレビCMを実施するそもそもの目的」から整理していきましょう。その実施目的は多岐にわたりますが、主に以下の3点が戦略上の重要な柱となります。

幅広い層に対しての認知向上と信頼性の確立

テレビは、高いリーチ力を誇るメディアの一つであり、全世代が視聴するメディアとなるため、企業名や商品・サービス名などを幅広い層に認知してもらえることが期待できます。特に、これまで接点のなかった潜在顧客層に対し、大規模かつスピーディーにブランドを浸透させる上で、テレビCMは強力な効果を発揮します。

また、テレビが公共性の高いメディアであり、日本民間放送連盟が定める「民放連放送基準」に基づき厳格に運営されている事実は、企業やブランドに対する社会的な信頼性を確立する上で非常に有利に作用します。テレビCMを通じて発信される情報は、多くの視聴者にとって一定の信頼性を伴うものとして受け止められやすく、ブランドの権威性や信用力を高めることに寄与します。

ブランドイメージのリフトアップ

テレビCMは、計画的な出稿を通じて視聴者との継続的な接触機会を創出することで、ブランドイメージの定着化に貢献します。映像、音声、音楽、ナレーション、アニメーションなどを組み合わせた豊かな表現力は、企業の個性やメッセージを情緒的に伝え、視聴者の感情に強く訴えかけます。

さらに、起用するタレントや表現手法によって、ターゲットとする顧客層に共感や親近感、あるいは信頼感を持ってもらえるようなブランディング戦略を展開することが可能です。出稿する時間帯や番組特性を考慮したクリエイティブは、ターゲット顧客へのメッセージ浸透効果を高め、親和性の高いターゲット層への深いブランド浸透を実現します。

売上・成果への貢献

認知度やブランドイメージ向上といった中長期的な効果に加え、テレビCMは売上や問い合わせ件数増加といった短期的な成果にも寄与します。視覚と聴覚の両方に訴えかけるCMは、商品・サービスの特長や魅力を効果的に伝え、視聴者の購買意欲を強力に刺激します。

また、インパクトのあるテレビCMは、視聴者の記憶に強く残り、日常生活で関連する商品やサービス、あるいは店舗などで目にした際に、CMの内容を想起させやすくなります。このCM想起は、消費者の選択肢の中で自社の商品やサービスを優先的に検討させる効果をもたらし、購買意欲を刺激することで、結果的に来店やWebサイトでの購入といった具体的な行動へとつながることも期待できます。

2)テレビCMの種類について

テレビCMは、その出稿形態によって「タイムCM」と「スポットCM」の2種類に大きく分けられます。前章で整理したテレビCMの目的を達成するためには、これら2つのCMの機能と特性を理解することが不可欠です。契約期間、放送エリア、役割などに明確な違いがあるため、ターゲット層や目的に応じて最適な種類を選択することが重要になります。

タイムCM

企業が特定のテレビ番組のスポンサーとなり、その番組内でCMを放映する出稿形態です。契約期間は基本的に2クール(6ヵ月 ※ただし、番組毎に指定有り)で、CM枠は基本30秒となります。テレビ番組の放送中または番組の前後で企業名や商品・サービス名とともに「提供クレジット」が表示されたり、アナウンスを流したりすることが可能です。提供クレジットが表示されることは、視聴者に対してスポンサー企業の信頼性や権威性を印象づける上で非常に有効です。

タイムCMは、一定期間にわたって特定の番組でテレビCMを継続的に放映できるため、同じ番組を繰り返し視聴する視聴者に対して、企業名や商品・サービスを強く記憶に刻み込む接触効果が期待できます。そのため、短期的な認知拡大よりも、特定の番組を通じてブランドイメージを醸成し、ファンを育成するといった中長期的な視点でアプローチしたい場合に有効だといえます。番組のコンセプトや視聴者層と自社のターゲットが合致することで、継続的な接触を通じてロイヤルティの高い顧客層との関係構築につながりやすいと言えるでしょう。

項目概要
買付方法番組指定
提供クレジットの表示有り
契約期間番組毎に指定有り
(例:1ヵ月/1クール/2クール)
秒数30秒~
放送エリアネットタイム:全国放映
(キー局の系列各局)
ローカルタイム:特定のエリア
(地方の各放送局)
放送枠番組を指定
役割ターゲットを絞った継続接触による
ブランディング

スポットCM

番組を指定せず、特定の期間内に集中的にテレビCMを放映する出稿形態です。放映期間、時間帯、エリア、投下量(GRP:延べ視聴率)を指定して広告枠を購入します。提供クレジットは表示されず、CM枠は通常15秒または30秒となります。

スポットCMは、番組内や番組間などさまざまな時間帯に放映されるため、特定の番組視聴者に限らず、幅広い層にリーチできる可能性が高まります。そのため、新商品発売時の短期間での認知獲得、期間限定キャンペーンの告知、最新情報の迅速な伝達など、即効性を重視したアプローチをしたい場合に特に有効です。特定のターゲット層に絞り込むより、まずは多くの生活者に広く情報を届けたい、短期間で集中的なプロモーションを展開したいといった目的に適しています。スポットCMを出稿する際は、出稿目的や自社商品の特性に合わせ、平日・休日や時間帯による視聴者層を踏まえたうえで放送枠の選定をすることがポイントです。

項目概要
買付方法GRP単位
提供クレジットの表示無し
契約期間自由(通常2週間程度)
秒数通常15秒/30秒
放送エリア各放送局エリア
放送枠放送局一任※交渉力が重要
役割即効性・認知率重視

3)タイムCMとスポットCM、それぞれのメリット

それぞれのCM形態が持つ独自のメリットを理解することは、効果的なCM戦略を立てる上で不可欠です。ここでは、改めて、タイムCMとスポットCMそれぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。

タイムCMのメリット

  • ターゲット層への効率的なアプローチができる:番組の視聴者層と企業・商品がターゲットとする層が合致する場合、視聴習慣のあるターゲット層へのリーチが可能。
  • 番組のイメージと企業・商品イメージをリンクさせることで、ブランディングにつながる:番組が持つ雰囲気や信頼性と企業・商品のイメージを関連付けることで、より深いブランドイメージの形成が促進できる。
  • 従業員エンゲージメントの強化とステークホルダーからの評価向上が期待できる: 特定番組の提供企業となることで、従業員の企業への愛着やモチベーションが向上するとともに、グループ会社や主要な取引先からの信頼やポジティブな評判を獲得することに貢献。
  • 30秒だけでなく、60・90秒の長尺CMによる情報伝達が可能:スポットCMの基本尺である15秒より長い30秒以上のCM枠を利用できるため、より詳細な情報伝達や、ストーリー性のあるクリエイティブ展開が可能。

タイムCMは、中長期的な視点でブランド育成や特定の番組視聴層への深いアプローチを目指す企業におすすめです。特に、商品やサービスのターゲット層が明確であるほど、より効果的な出稿が期待できます。同じ番組内では競合他社のCMが放送されないため、視聴者の注意を引きやすく、非常に有利な環境で訴求できるというメリットもあります。

なお、特定の番組のスポンサーになることで、番組出演者やキャラクターとのタイアップや番組コンテンツと連携したプロモーション展開が可能なケースもあり、ターゲット層への訴求力やブランドイメージの向上につながります。

スポットCMのメリット

  • さまざまな時間帯にCM放映ができるため幅広いターゲットに視聴してもらいやすい:特定の番組に固定されない柔軟な放映が可能なため、様々な時間帯や番組間にCMを流すことで、幅広い層へのリーチが期待できる。
  • 一定期間に集中して放映することで認知上昇につながりやすい:集中的にCMを投下することによって、短期間での認知度上昇が期待できる。
  • 購買行動の喚起につながりやすい:キャンペーン告知や新商品発売など、商品・サービスの特長や魅力を強力に伝え、特定の行動を促したい場合に効果的。
  • 流通の棚確保をする際の営業支援が期待できる:テレビCMによる大規模な告知は、メーカー等のクライアント企業が販売店など流通チャネルへの働きかけとしても有効に機能することがある。

スポットCMは、特定の期間に集中的なプロモーションを展開したい場合や、テレビCMへの出稿が初めての企業にもおすすめです。予算や目的に応じて、短期間に特定のエリア、あるいは限定的な時間帯に絞ってCMを放映できるため、大規模な投資を行う前に、CMクリエイティブの効果や特定のターゲット層への反応を限定的な条件で検証するテストマーケティングにも適しています。

制作したCMクリエイティブがターゲットに響くのか、どの時間帯やエリアで効果が出やすいかなど、リスクを抑えながら確認できるため、より効果的なクリエイティブへの改善や、本格的にテレビCMを展開する際の最適な出稿プラン(エリア、時期、量)を検討するための貴重な知見を得ることができます。

スポットCMは、スモールスタートで検証を行い、データに基づいた戦略的な次のステップへ繋げやすいため、特にテレビCMが初めての企業におすすめの選択肢となります。

2.タイムCMとスポットCMの出稿戦略と効果

テレビCMの効果を最大化する戦略として、タイムCMとスポットCMの組み合わせが挙げられます。この組み合わせは、それぞれの利点を掛け合わせることで、高い相乗効果をもたらし、多角的な成果へと繋がりやすくなります。

  1. リーチの質と量の最大化:
    タイムCMで特定のターゲット層に対し、番組の権威性や信頼性を背景にした質の高い接触を継続的に確保しつつ、スポットCMで様々な時間帯や番組を通じて幅広い層へのリーチを瞬間的かつ集中的に拡大します。これにより、ターゲット層には深く、潜在層を含む広範な層には広く情報を届ける「量と質」の両面でのリーチ最大化が期待できます。
  2. ブランド認知と理解の戦略的深化:
    スポットCMで獲得した瞬間的な認知を起点とし、タイムCMでじっくりとブランドストーリーや商品・サービスの特長を伝えることで、視聴者のブランドに対する理解を深めます。認知から興味・関心、そして深い理解へと段階的に導くことが可能となり、単なる知名度向上に留まらない、強固なブランドイメージ構築につながります。
  3. コスト効率と柔軟性の向上:
    タイムCMで安定的な基盤となる露出を確保しつつ、キャンペーン時期や新商品発売時などのプロモーション強化が必要なタイミングでスポットCMを集中投下するなど、目的に応じた柔軟な予算配分と出稿量の調整が可能になります。これにより、限られた予算の中で最大の効果を引き出すコスト効率の高い運用が実現できます。特定の目的(例:短期的な売上向上)にはスポットを、中長期的なブランド育成にはタイムをといった使い分けや、両者を連携させることで、より戦略的なメディアプランニングが可能となります。
  4. 購買行動への効果的な導線設計:
    スポットCMで訴求力の高いメッセージを届け、短期的な購買意欲を刺激しつつ、タイムCMで培ったブランドへの信頼感や愛着が、最終的な購買決定を後押しします。テレビCMで得た関心をWebサイト検索や店舗訪問といった具体的な行動へと繋げるための、強力な導線を構築できます。

このように、タイムCMとスポットCMの組み合わせは、単独では達成し得ない相乗効果をもたらし、リーチの拡大、ブランド理解の深化、コスト効率、そして具体的な成果への貢献といった様々な側面で、テレビCMの効果を飛躍的に向上させる戦略的なアプローチと言えます。CMプランニングにおいては、目的、ターゲット、予算に応じて、両者の最適なバランスを見極めることが成功の鍵となります。

3.テレビCM放映におけるポイントと効果分析

1)テレビCM放映における重要ポイント

テレビCMの“クリエイティブ”の力

テレビCMの広告クリエイティブは、企業のブランディングや認知拡大に大きな影響を与える極めて重要な要素です。これまでのセクションで解説したタイムCMやスポットCMといった出稿方法が「どこに、どのようにCMを届けるか」に関わる戦略である一方、クリエイティブは「何を、どのように視聴者に伝えるか」というCM自体の内容を決定づけます。

どんなに優れた出稿戦略で多くの視聴者にCMを届けたとしても、クリエイティブの質が低ければ、メッセージは伝わらず、期待する効果を得ることはできません。視聴者の心に響き、記憶に残るクリエイティブこそが、テレビCMの成功を大きく左右すると言えます。

効果的なクリエイティブを制作するためには、単に映像や音声を組み合わせるだけでなく、テレビCMを実施する目的とターゲット層のニーズを深く理解し、それに合致した表現方法を事前に整理しておくことが不可欠です。どのようなメッセージを、誰に、どのように伝えれば最も響くのかを明確にすることで、視聴者の関心を引きつけ、購買行動やブランドイメージ向上といった具体的な成果に繋がる「効果の高い広告」が生まれます。そして、後述する効果測定を通じて、そのクリエイティブが狙い通りの効果を発揮しているか、改善の余地はないかなどを検証することが可能になります。

テレビCM考査の重要性

テレビCMは、タイムCM、スポットCMのいずれの形態で出稿するにしても、「考査」と呼ばれる厳格な審査をクリアすることが必須です。考査とは、CMの内容が放送基準に適合しているかを確認する審査であり、審査基準を満たした素材のみがテレビCM放映を認められます。

考査は、一般社団法人日本民間放送連盟(民放連)の自主基準に基づき、各テレビ局、あるいは専門の考査会社によって、主に以下の2つの観点から行われます。

  • 業態考査:広告主となる企業の健全性や信頼性を審査
  • CM考査:CM動画として放送される素材について、放送倫理に反していないか、法令や放送基準などを守っているかを審査

これらの考査に加え、CM映像の納品にあたって、制作物にはいくつかのレギュレーションが存在します。これらを守ることでテレビCMのスムーズな出稿につながります。テレビCMを見た視聴者からの信頼を得るためにも、ルールは細部にわたり慎重に確認することが求められます。

なお、考査には一定の期間が必要となるため、CM放映開始日から逆算しスケジュールに余裕を持って進めることが重要です。複雑なプロセスを円滑に進めるためにも、専門家である広告代理店と連携し、スムーズなCM放映を実現しましょう。

参考:テレビCM制作のすべて!CM制作の流れ・期間・ポイントを解説 - テレシー(TELECY) - 運用型テレビCMを軸として総合コミュニケーションサービスを提供

2)テレシーアナリティクスを活用したテレビCMにおけるPDCAサイクル

「テレシーアナリティクス」は、広告主の目的に応じた独自の2つの分析手法を駆使し、膨大なデータを精緻に分析します。これにより、放送局や放映エリア、放映時間、番組、さらにクリエイティブごとの効果を定量的に測定でき、各要素における広告効果を詳細に把握することが可能です。このようにして得られたデータを活用し、テレビCMのPDCAサイクルを効率的に回し、広告効果を最大化するための戦略立案・実行が可能となります。

参考:テレビCMの効果測定指標・方法とは?最新の手法とPDCAサイクルを解説 - テレシー(TELECY) - 運用型テレビCMを軸として総合コミュニケーションサービスを提供

「テレシー」は本記事でご紹介したポイントを踏まえ、クライアント企業の課題に対して、運用型テレビCMを軸とした統合的なマーケティング・コミュニケーションサービスを提供しています。戦略策定からCMクリエイティブの企画制作、メディアプラニング、効果分析まで一気通貫して、クライアント企業に伴走し事業成長に貢献します。

資料請求

運用型テレビCMを軸とした、テレシーが提供する統合コミュニケーションサービスに関する概要資料です。
その他、提供しているソリューションについても紹介しています。

お問い合わせ

多様な支援実績のあるビジネスプロデューサーが、お客様のコミュニケーション課題や事業課題についてヒアリングをし、最適なソリューションを提案いたします。

採用情報

テレシーのビジョン、4 Spritsに共感し、一緒に広告業界を変えていく仲間を募集しています。